まだまだずっと先のことと思っていたのだが、今年の目標のひとつであった、タイトルのルートに行ってきた。
この計画の発端はというと・・・。山スキーの同人でご一緒させていただいたA嬢と、たま~に岩場で会うようになり、それが一緒に登りに行くようになり、アルパインクライミングに一緒に行く人を探しているという話を聞いた。そこで、どこに行きたいかと聞いたところ、屏風の東壁ルンゼのフリークライミングルートという答えが返ってきた。昨年におとうさんから東壁ルンゼに誘われて行きたかった私はよく調べもせずに、A嬢曰く「急に食いついてきた」らしい、行きたいと言い出したことに始まる。
まぁ、私の行きたいルートの基準は名前ですから・・・。
とはいえ、お互い良く知らなかったし、最強〇〇と言われているA嬢についていけるんだろかと、ふと我に返って、どこかの教科書からもってきたような計画を立てた。
まず、第1弾 ロープ合わせ&一緒に山で生活できるかのお試しのため、前穂高北尾根へ。第2弾 本格的にクライミングしてみよう&東壁ルンゼを見に行こう 屏風岩雲稜ルートへ。そして迎えた本番である。
もう下調べの段階で、私には明らかに難しいとわかっていたので、とりあえず、敗退方法だけは考えていた。
いつもの私はマルチピッチに行く時はルートの完登が目的なので、ほぼフリーにこだわらない。しかし今回はNP、フリーという目標を持っていて、無理なら敗退することに決めていた。
日程も余裕を持って3日取った。初日、屏風岩のT4(第4テラス)に宿泊。T4までの荷物をできるだけ軽くしたいので最終日の食料は横尾にデポした。屏風岩に行くには梓川の渡渉がある。我々ちびっこなので、浅いところで渡渉したい。そこで一般的に渡られている岩屋の大分手前を渡った。渡渉は浅かったが藪こぎを強いられることになった。青虫系の苦手なA嬢は顔面蒼白だった。ちなみに渡渉にネオプレーン靴下を履いてみたが、むちゃくちゃ具合いい!!
T4尾根の下から屏風岩を見上げると、連日の雨の後のせいか、ところどころ濡れていて空が写りこんでいる。目的のルートも黒い筋がついている。まぁクラックなのでカラカラってわけにはいかないだろうと思ってはいたが・・・。明日にはもう少し乾くだろうと思った。実を言うと、登れないぐらい濡れてたら、敗退の言い訳になるのになーなどと考えていた。
T4につくとちょうど東壁ルンゼの下部を登ってきたという2人組が下りてくるところでT4は誰もおらず貸切になった。ファイントラックのツエルトがこれまたむちゃくちゃ具合いい。ストックと石で張ると快適そのもの。水は生活用水と明日の飲料用に4l上げた。夕食はフリーズドライで私は麻婆茄子丼を食べた。ワインとラム酒を飲んで早々におやすみ。マットとシュラフも快適でおよそ10時間、私は3回ほど寝返りを打ったが、ほぼ1回も目を覚まさなかった。
どうせ濡れてるし朝露もあるし、ゆっくり休んだほうがよく登れる。ということで5:30まで寝る。たぶん私の準備が遅いのでA嬢は少々イラついたに違いない。
取り付き7:00。取り付きまではT4から歩いていける。T3手前の顕著なクラックシステム。踏み跡があってわかりやすい。どう見ても難しそう。やはりNPオンリーで行くのは考えられないと思い「えーっ」とA嬢に行ってみたが、一蹴される。そりゃそうだ、そのために来たんだし・・・。