pen-jiroのブログ

願わくば人生をで楽しいことで埋め尽くしたいわたくし。わたくしの楽しいこと3つ。「美味しいコーヒーを飲みながらの会話」・「JAZZ music をプレイする、聴く」・「山で登ったり、滑ったり」。最近は飯山市の富倉そばさん、長野市のインディアザすぱいすさんで月1歌わせていただいてます。

北岳バッドレス 下部フランケ〜Dガリー奥壁

とりあえず目標はひとつずつこなす。
先週登ってみた感じでは腰の調子は大丈夫そうだし、今年いっておきたいルートの1つに行ってみよう。
まぁパートナーはKさんなので、何とかなるだろうくらいの気持ち・・・。

北岳バッドレスの下部フランケからDガリー奥壁の継続登攀は何度もチャレンジしているがなかなか天候に恵まれない。
数年前、4尾根から覗き込んで、かっこいいと思ったものの、まっ平らで切り立った美しいスラブ、手ごわそうだと思った。
あれからたくさん経験を積んだけど、どうだろ・・・。

もう雪渓もなくなっているのでアイゼンはいらない。荷物が軽くできる。
ギアはTCUを1セットとキャメ1セット、プラスお守りで、キャメの#.75〜#2まで各1個。

長野を8:00出発。ゆっくり出られるのは楽チン。
マイカー規制の為、芦安温泉でバスに乗り換え(正確には乗合タクシー)

1日目 広河原 11:40発 − 二俣 13:45 − 白根御池のテント場 泊り。

 

9月も終わりとなるとテント場も静かである。
下見の必要もないので、着いたら、明日の準備をすませて、すぐ飲む。
偶然、ブルークリフの滝本さんに会う。お客さんを連れていらしていた。
食事をして16:30には寝た。途中、Kさんに「もう寝る」と言われたのは覚えている。
Kさんはとなりのテントも20:00には寝たと言っていたので、それくらいは起きてたんだろう…と推測する。 

2日目 起床 2:10 − テント場 出発 3:20 − 第5枝尾根 登攀開始 5:30 − 下部フランケ − トラバース
− Dガリー奥壁 登攀開始 9:30 − 渋滞待ち 10:55 − 登攀終了 11:40 − 北岳頂上 − 14:00 二俣出発 14:30 − 広河原15:32

16:30に寝たというのに眠い。10分寝過ごす。
何度もきているおかげで登山道から下部岩壁までは迷わず行ける。
準備をして登攀開始しようとしたときに陽が昇る。モルゲンロードがとても美しい。

第5枝尾根は2P。2P目は50mロープいっぱい。あがると目の前に下部フランケが現れる。

いよいよ、下部フランケだ。ここは前に登ってその先で敗退したから知っている。

いつもの通り、1P目はKさんリード。
遅そうなペアが先にいて、はしょろうとしたが、Kさんはやはり全部登りたいとのことで待つ。
この2人はピラミッドフェイスの方に抜けて行った。フォロワーの力量からするとピラミッドフェイスはとても登れそうにないけれど・・・4尾根に抜けたのかしら。

下部フランケ2P目は私。やっぱりフリーでは抜けられず、A0しまくった。
ピトンが連打されているが抜けそうだったり、ちょっと遠かったり(ちっちゃいからね〜)で、TCU紫を岩の割れ目に突っ込んでお助けしてもらう。きいてないから「抜けて落ちるかも〜」といいながらグダグダ登る。

3P目。なんだか悪いらしく、Kさんがプロテクションをとりまくるので笑ってしまった。そうかと思えば、すごい悪いところをノープロでぐんぐん登っていくので、不思議だ。

4P目。左上してトラバース。どんどん左に行こうとしたら、トラバースだと指摘された。続けていったらロープがあと3mだとコールされて、適当な岩の隙間を見つけてピッチをきる。カムって便利だ。トラバースの前に切って欲しかったと後で言われる。もっともだ。ちょっと行くとピトンが2枚打ってあったので皆ここで切っているらしい。ひっぱれば全然たりたなーと思う。

ああ、まだ半分終わったか終わってないかかぁ〜。時間かかりすぎかなーとちょっと不安になる。
天気が無茶苦茶いいことだけが救いだ。

このあとはDガリー奥壁の方にまっすぐ上がっていく。20mと40mのピッチがある。40mといいつつ、ほぼ50m出ていた。
Dガリー奥壁の方に近づくとハング帯が目前に見えてくる。これがあの!とわくわくする。が・・・。
ビレイポイントの真下で大をしたふとどき者がいてとても臭い。ティッシュも置きっぱなし。
生きてるから仕方ないけど、ちょっと考えてほしい。

1P目。今日の1番のハイライトはKさんに譲る。ずっとここを登りたかったに違いない。
見た目もカッコいいけれど、内容も楽しい。ハング、スラブ、クラック盛りだくさんだ。

2P目。スラブ帯。何しろスタンスがない。やっとピトンにとどいたと思ったら、カラビナが入らない。
こんな不安定な場所でピトンの穴にスリングを通すなんて〜。無理!ごめんなさいしてからピトンにのった。
一端安定するバンドに出る。横を見ると階段状の・・・。2枚目のスラブは時間省略の為パスして階段へ。
続きのスラブはスタンスも豊富でクラックもある。次のピッチのチムニーが目前に迫るがロープが残り少ない。
できればチムニーの真下でピッチをきりたいと考えていたら、3本のピトンが上に見える。
ロープを引っ張りまくると、トランシーバーからロープいっぱいのコール。トランシーバーってなんて便利なんだろう。「あと3m上がりたいから(ビレイを)解除して」などという複雑な連絡が普通にとれちゃう。なんとかピトンにとどく。Kさんに少し上がってもらってフォロワーのビレイセット分のロープを出してもらう。

けっこう悪いスラブなのだが、Kさんが気持ち悪いくらい、ニコニコしていた。ここを晴れの日に登れたことがよほど嬉しいらしい。
あんなにニコニコしているのはみたことがないかも・・・。

3P目。チムニーが意外と狭く、体が抜けなくて苦労していた。ここで4尾根と合流。私にはチムニーの先は見えない。
朝のピラミッドフェイスパーティーもいるらしい。先が渋滞している。しばらくかかりそうなので、私は昼寝に入った。天気が良くて、時間もまぁまぁだし、余裕があるっていい。

もちろん、渋滞は、またされて時間を食うことになり、自分たちにとって危険なことなので、すごく嫌だ。だけど、壁にぶら下がってうとうとするのは大好き。不動産屋さんで部屋を借りたら、あんまりよくない部屋で、なんでこんな部屋契約したんだ?!と友人に叱られる夢を見た。さすがに腰が痛くなって目覚めた。目覚めてもまだ渋滞中だった。

4P目。最後のピッチはほぼ歩きだ。

登攀終了!ほんとに気持ちのいい天気。水と食料をいただく。
せっかくだから頂上まで行こうといわれて、めんどくさいから、ちょっと渋ったものの行くことにした。案外近かった。
おそらく4尾根を登った時よりも疲れているはずだけど、全然そんな気はしなかった。
下山路はあっという間だった。八本場のコルがとても整備されているせいだろうか?

二俣でのんびり。・・・と思っていたが、バスの時間が迫る。毎度のことだが私は行動が遅い。パッキングが遅すぎるとKさんに叱られた。バスは16:00で終わりなので間に合うように降りるといわれた。正直、私はタクシーがいるから大丈夫だろうと考えていた。でも叱られた手前、バスに間に合わないってことになったらもっと怒られる。急いで降りた。ちなみにKさんは40分でおりたらしい。私はカナダから帰って以来、腰の養生で動いていなかったこともあって、膝が完全に笑っていた。何度か膝がカクンとなった。

結果オーライ。やっぱり16:00に間に合わないとバスに乗れないみたいで急いだのは正解だった。

きっと数年前に初めてトライしたとき登れてたら、こんなに順調ではなかったかも・・・。
山の神様はうまい具合に我々を今日、この日、ここに導いてくれたんだなーと思った。